国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
TOP > サイトマップ > _ > 温泉に泊まりながらドイツ・スイス・オーストリアを巡る旅  その2 スイス・アルプスと温泉 (2011)

温泉に泊まりながらドイツ・スイス・オーストリアを巡る旅  その2
           スイス・アルプスと温泉 (2011)

温泉に泊まりながらドイツ・スイス・オーストリアを巡る旅  その2
                スイス・アルプスと温泉

4日目 朝一温泉をしてからスイスへ ローとホルンの汽車ポッポ

  バーデン・バーデンの宿は内湯のあるバーディッシャーホフに決めている。4つ星で比較的リーズナブルに泊まれるから、いわば定宿である。庭にバーデン・バーデンを象徴する源泉があって湯けむりを上げている。今回もそこに泊まったのだがこれまでとは経営が変わったようだった。しかし内湯の温泉が朝7時からオープンするというシステムに変更はなかったので問題はない。日本の温泉では当たり前の朝食前の一風呂が海外でもできる貴重なホテルなのだ。この日はスイスへ行くが、この旅で唯一温泉地でないところに泊まる予定なので、ここで朝一温泉をやっておかないと毎日温泉の原則が崩れてしまう。
アウトバーンA5を南下してバーゼルでスイスに入る。スイスはEUに加盟していないので税関があり、トラックは長い列を作っている。乗用車はスイスのアウトバーン通行料金支払い済みのステッカーが貼ってあればフリーパスである。レンタカーは運が良ければ貼ってある。我々は運が良かった。
スイスに入ると雨が降り出した。スイスのアウトバーンA2でルツェルンを経由し、未だ全線開通していないA8から一般道にでてブリエンツのホテルに着いた。途中標高差で200mほど谷に向けて下るところがあるが、谷の向かいに立派な滝などがあり、さすがにスイスの景観は見ごたえのあるものだった。
勾配付きの蒸気機関車に押された登山鉄道で登るブリエンツ・ロートホルンはベルナー・オーバーラントの人気観光ポイントである。この地域には何度も行ったのにこの登山鉄道は未体験だったし、雨もあがったので乗ってみることにした。ホテルのすぐ横が乗り場だった。シュッポ・シュッポと可愛いSLに押されていきなり断崖を急角度に登って行く。眼下に緑色の水を湛えたブリエンツ湖が拡がり、高度を上げるにつれインターラーケンの街も遠くに見えてくる。断崖を登りきるとアルムになり線路の傾斜も緩み草原にカウベルを鳴らした牛の群れが見られる。しかし汽車は霧の中に突入しロートホルン頂上駅やその上にあるホテルは近づかないと見えないくらいだ。
ブリエンツ・ロートホルンは展望台としてもすぐれたところらしいが、霧の中ではどうしようもない。レストランでホット・チョコレートを喫して折り返しの汽車で帰った。ブリエンツの駅の傍に鋲を打った懐かしい昔の登山靴(ナーゲル)を植木鉢に見立てた花が飾ってあった。さすがにアルピニストの憧れの地域だけのことはある。
 
5日目 007のシルトホルン アーデルボーデン温泉
 
ブリエンツ湖畔の宿で目覚めると対岸の山の頂は白銀に光っていた。ベルナー・オーバーラント観光のメインはユンクフラウ・ヨッホなのだが、今回のメンバーは皆さん既に体験済みである。従って次に有名なシルトホルン展望台へ行くことにしていた。シルトホルンも何回か試みたことはあるのだが、天候が悪くて果たせていなかった。今日は大丈夫そうだということで勇躍ブリエンツのホテルを発った。
ブリエンツの湖尻からアウトバーンに乗って、インターラーケン郊外のヴィルダースヴィルで降りると、正面にユンクフラウが見えてきてアルプスに来たという感激を得る。ラウターブルンネン谷の象徴であるスタウブバッハ滝は意外にも水量が少なかった。U字渓谷の奥に輝く白銀の峰々がまぶしい。

   シルトホルンへ(2,970m)はミューレンを経由してゴンドラを三つ乗り継いで昇る。途中で雲の層に入ったが、頂上は晴れていた。雲海に浮かぶアイガー・メンヒ・ユンクフラウの三山を始めそれに連なるベルナー・アルプスの大パノラマの素晴らしさは筆舌には尽くしがたい。映画007のロケ地を今でも売りにしているこの展望台には回転レストランがある。入ってカプチーノを喫するとシルトホルンの観光は完結する。
ミューレンに下って村を散策した。外れまで行って切り立ったアイガー北壁が間近に見えるテラスでランチをした。これがまたアルプス観光の醍醐味である。
ラウターブルンネン谷に降りて、登ってきた道をヴィルダースヴィルまで下り、少しだけアウトバーンA8に乗ってスピーツで降り、南に山の中へ入って行く。アーデルボーデンというリゾートの町に温泉ホテルがある。日本では知られていないリゾートだが山もあり冬はスキー客でにぎあうという、なかなか静かで雰囲気の良いところだった。

参照――――― アーデルボーデン温泉(Adelboden)――――――――
 スイスの人気観光地の一つベルナ―オーバーラントの静かなリゾート、アーデルボーデンに立派な温泉ホテルがある。アルプスを望む展望露天が素晴らしい。

6日目 霧のスーステン峠越え シンツナッハ温泉へ

今回の旅は温泉に拘っていると同時に山岳ヴューにも拘っている。スイスには三大山岳ドライブ峠というのがあって、いずれもすぐれたヴューを誇っているという。それらのうちフルカ峠とグリムゼル峠は晴れた日に越えてそのことを確かめたが、最も景観にすぐれているというスーステン峠だけは通ったことがなかった。今回は是非と思ってスーステン峠越えのコースを計画したのだが、生憎の雨模様で景観を楽しむことは叶わなかった。
前泊のアーデルボーデンでは周りの山は雲に隠されていた。それでも晴れるかもしれないという一縷の望みをもって宿を発った。トゥーン湖岸とブリエンツ湖岸を東に向いブリエンツの湖尻を過ぎたところの右手の断崖に滝が掛かっているのが見えた。一昨日ブリエンツに向かうときに見たのと同じ名もない滝だが結構見ごたえがある。
マイリンゲンの先でグリムゼル峠に向かう道に分かれて、いよいよ東に向かってスーステン峠越えにかかる。高度をあげると間もなく雲の中に入ってしまった。五里霧中のヘヤピンカーブが続く。目の前だけを見つめてハンドルを右へ左へと回すだけである。対向車も追っかけてくる車もほとんどいないのは救いだが、それでもいい加減疲れてくる。しかしいつの間にかトンネルを通過したのでどうやら峠(2,224m)を越えたらしい。東側は霧が薄れてヘヤピンの道が谷底に向けて下っているのがちらちらと見えてきた。2速のエンジンブレーキで下る。期待したヴューはさっぱりだったが、これで三大峠は越えたことになるから良しとしよう。
ヴァッセンまで下ってアウトバーンA2に乗り、最初のSAでランチをした。そのままA2でルツェルンを経由し途中でA1に移ってシンツナッハ温泉に行った。ライン河の支流であるアーレ川の河川敷だったような広い緑の中に、ホテル「クアホテル・イム・パーク」と温泉館「アクァレーナ」があった。ホテルにチェックインしたら恒例により早速温泉である。
 
参照――――――ン シンツナッハ温泉・アクァレーナ―――――――― 
 スイスの玄関口チューリッヒの近くのシンツナッハに由緒ある温泉がある。川沿いの緑の静かな環境の中に、クアホテルと付属の温泉館「アクァレーナ」がある。

7
日目 ハイジの故郷からフリューエラ峠越えでスイスの秘湯スクオール

 最寄りのインターチェンジからアウトバーンA3に乗り東へ向かった。以前A3はチューリッヒで一旦途切れ街中を通るようになっていたが、今ではアウトバーンでちゃんと迂回するルートが出来ている。左手にあるチューリッヒ湖を過ぎて、同じく左手に対岸が鋸歯状の岩壁になっているヴァーレン湖が現れる。湖畔にあるアウトバーンのパーキングエリアは絶景のお休み処である。湖を望むテーブルについて珈琲を喫した。
 マイエンフェルトで高速を降り、ハイジの泉へ寄った。観光バスに乗った日本人の団体がやってきた。ハイジの人気は続いているようだ。ダボスまで行って道端にあったホテルでランチをした。ダボスからはフリューエラ峠(2,383m)越えでイン川の流れるエンガディン谷に入った。この峠越えは2度目だが前回は霧の中だった。晴れた日に通ってみると標高が高いだけにヘヤピンも残雪も多く、結構面白い峠道だった。谷に降りてイン川沿いに下るとスイスの秘湯と呼ばれるスクオールは近い。
 スクオールでは温泉館に直結したホテル「ベルヴェア」を予約しておいた。ホテルゲストにはフリーパスがあるし、部屋からバスローブで温泉に行くことができる。早速温泉に行ったのだが、丁度夕立が上がって東の空に美しい虹がかかっていた。

8日目 ベルニナ山群とスクオールの高原 ここでもローマン・アイリッシュ

 絶好の山岳ヴュー日和になった。先ずはベルニナ街道のモルテラッチ氷河展望ポイントで、ベルニナ山群の盟主ピッツ・ベルニナと氷河の写真を撮った。運よく世界遺産のレーティッシュ鉄道ベルニナ急行の赤い列車が下から登ってきた。絵葉書や観光案内でよく見るのと同じ写真が撮れた。実はこのポイントには来たのは5回目だがピッツ・ベルニナの山頂がはっきり見えたのは初めてである。
 街道をさらに峠に向かったところにディアボレッツァ展望台(2,973m)に昇るゴンドラの駅がある。そのゴンドラはこれまでは冬と夏だけの営業で、5〜6月には展望台に登れなかった。それが嬉しいことに昨年あたりから通年営業になったようである。展望台には大きなレストハウスがあるが、周りはまだ厚い雪に覆われている。氷河を隔てた正面には三つの頂を連ねたピッツ・パリュ(3,905m)が連なり、右手のピッツ・ベルニナ(4,049m)まで拡がる姿は圧巻である。眼下にはペルス氷河が右に流れてモルテラッチ氷河に合流している。
 展望台から下りた後、ベルニナ峠(2,328m)まで登って峠の標識の前で記念写真を撮った。辺りのごつごつした岩の間は草原になっており、陽だまりに腰を下ろしてアルファー米でこしらえたおむすびでランチをした。可憐で色とりどりのアルプスの花に囲まれてのランチはスイスの旅での忘れられない思い出になる。
 スクオールに戻って北の裏山に懸るロープウエーで草原に昇った。冬はスキー場になるところである。この辺りは「アルプスの少女ハイジ」の実写映画のロケ地になったのだそうで、花が咲き乱れる雰囲気のよい草原が広がっているのである。また谷の南側にはスイス・ドロミテともよばれる岩山が連なっており、素晴らしい景観である。
 スクオールの温泉館「エンガディン・バート」にはローマン・アイリッシュ温泉が併設されたいる。予約制で20分ごとに2人づつ入ることができる。朝予約して夕方5時からの入浴がとれていた。今回の旅でローマン・アイリッシュ温泉は、バーデンヴァイラー、バーデン・バーデンに続いて三か所目である。各種の浴室、浴槽が小ぢんまりと纏められた良いローマン・アイリッシュである。以前来た時とは、入場のための自動扉の方式と、マッサージのやり方が選択できるというのが変わっていた。アロエオイルというのを選んだが、なかなか気持ちの良いものだった。連れの皆さんも大変気に入ったようだ。
 
参照――――――スイスの秘湯 <スクオール>―――――――――
 人気No.1の観光国スイス。アルプスの景観がスイスの一番の観光資源であることは間違いないが、日本ではまだ馴染みが薄い温泉もまたスイスの旅情を高める重要な資源である。ベルニナ・アルプスの奥にある秘湯スクオールを紹介する。

<< 戻る >>

*