国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
   Home 
   海外の温泉 
   国内の温泉 
   海外の温泉アーカイブス 
   国内の温泉アーカイブス 
   信泉会
Home > TOP > がんばろう福島の温泉 <宮下温泉・穴原温泉> (20111113~15)

がんばろう福島の温泉      宮下温泉・穴原温泉> (2011/11/13~15)
  被災地を励ますには先ず行くことだと美人女将を訪ねる2泊3日の旅をした。只見川の水害で苦しむ宮下温泉と地震と放射能に悩まされている福島郊外の穴原温泉に泊まった。帰りにはフルーツラインで林檎を買った。



   
がんばろう福島の温泉

                   宮下温泉・穴原温泉




がんばろう福島の温泉

 2011年の福島県は受難の年だ。大地震と津波、原発事故、それに只見川の洪水などである。被災した皆さんを慰めまた激励するには、若ければボランティアなどの活動もできようが、高齢者ともなるとただ客として行くしかない。という訳で水害に苦しむ奥会津の宮下温泉と地震と放射能に悩まされている福島の穴原温泉を訪ねる2泊3日の旅をしてきた。東北道を西那須野塩原ICで降りて「湯の香ライン」と名付けられたR400を会津へ向かった。道の駅で蕎麦を食し、秋色が鮮やかな塩原温泉郷の渓谷を遡り、日光街道から田島に出て三島町の宮下温泉に泊まった。翌日は途中でゴルフをしてがら福島市郊外の穴原温泉に行った。何れの温泉でも、にっこり女将が元気を取り戻していたので安心した。帰りにフルーツラインを通ってそこでもにっこり女将の居る行きつけの店で林檎を買った。女将たちが「にっこり」を取り戻している福島は、復活も遠くはないであろう。

宮下温泉・ふるさと荘

  只見川流域は奥会津と呼ばれている。そこにK子ちゃんという若女将が仕切る宮下温泉・栄光館があり、K子ちゃんの「にっこり」に誘われて何度か訪れたことがあった。その栄光館が「平成23年7月新潟・福島豪雨」による只見川の氾濫で水没したのである。上流のダムが満水になって放流したのだそうであっという間に水位が上昇し、K子ちゃんや栄光館の泊り客達が慌てて避難する様がTVで全国放送されたという。鉄道ファンに人気だったJR只見線の三つの鉄橋も流される大水害だったのである。
 栄光館は休業を余儀なくされ、K子ちゃんは仕事を失った。しかしそこで落ち込まないのが会津の女性である。丁度そのころ宮下温泉のある三島町では、休館中だった町営の休養施設「ふるさと荘」を再開するための経営者を公募していたのだ。栄光館は、支流である大谷川が只見川の本流に合流する付近の河岸に建っており、低い位置にあったため水に浸かった。「ふるさと荘」は河岸でも国道400号沿いの高い位置にあるので水害は免れた。栄光館の若女将だったK子ちゃんは、応募して「ふるさと荘」の女将になった。
 休館していた「ふるさと荘」は、掃除などが大変だったようだが、栄光館のスタッフを動員して10月の再開にこぎつけたという。「ふるさと荘」は建屋のすぐ横に独自の源泉を持っている。源泉名は赤谷温泉と言い、浴槽には56℃pH6.8の塩化物泉が掛け流されている。お湯は熱すぎるので、高い位置から大きな陶板の表面を伝わせて注がれていて、湯舟では42~3℃にはなっている。透明だが淡い緑色をしたお湯で、ちょっと熱めだが、肌触りも良く気持ちの良い温泉だった。
 温泉もさることながら、にっこりK子ちゃんが元気だったので安心した。

穴原温泉・吉川屋
 
ゴルフ好きの近所のご夫婦とご一緒したので、翌日は「ナリ会津CC」でゴルフをした。ゴルフ場の紅葉は素晴らしいものだったが、残念ながら次第に霧が立ち込め、雨も降りだしたのでハーフであがった。クラブハウスの浴場は温泉である。「会津河東温泉」といって63℃のお湯が湧いているらしい。pH7.1の塩化物泉だそうで、浴槽には濃い茶褐色のお湯があふれている。立ち寄り湯ができるので、原発事故で会津に避難している方々もよく入りに見えるという。
猪苗代ICから磐越道に乗り、東北道に乗り換えて福島・飯坂ICで降りた。ICから穴原温泉は近い。行きつけの吉川屋は、天皇陛下や皇太子さまがお泊りになる大型の名門旅館である。吉川屋に着いて美人女将から大震災に伴う大変だった話を聞いた。到着するお客を迎えに表に出ていて立っておれなかったこと。社長である大旦那が出かけていて戻って来れなかったため一人で仕切らねばならなかったこと。滞在客の中には裸で温泉に浸かっていた方もいたりして、避難の誘導にてんやわんやだったこと。翌日が予約で満室だったため、そうした予約客へのキャンセルの連絡がなかなかとれなかったこと。泉源に異常はなかったものの水道が止まったこと。テレビや家具がめちゃめちゃに壊れたこと。床にひびが入ったり、落ちた壁などの修理に結構金がかかったこと。などなど。
一息つく間もなく、こんどは300人もの避難者の受け入れが始まったという。名門旅館ともなれば避難者といえども粗末には扱えない。毎日の食事のメニュー、質,量なども一般客とどう区別するか。避難者に対しては「いらっしゃいませ」という訳にはいかない。日々の挨拶をどうするかを検討し従業員に徹底するのも女将の仕事だ。結局のところ大赤字になったそうだ。
しかし女将は元気だった。東北6県の女将代表で総理大臣と対談したり、原発担当相と握手をしたりの大活躍である。ファミリーマートと組んで女将たちがプロデュースした商品を「おいしい東北フェア」というキャッチフレーズで売り出した。吉川屋の女将のメニューは「柚子味噌焼きおむすび」である。早速買ってみたが美味しかった。店員の話でも評判は良いようだ。

フルーツラインから東北道へ

 福島のフルーツは美味しい。この時期は林檎で、「サンふじ」に蜜が入ってくる。昨年フルーツラインを走りながら、道端のとある店で林檎を買った。その店の女将が美人だったので今年も寄ってみた。風評被害で大変なのだそうだが、今年の林檎は大きくて特別に美味しい。調達して親戚に贈った。安く売っている傷ものが自家用にはいい。なにより女将のにっこりと「おまけ」が良い。
 福島西ICから高速に乗り、矢板ICでランチと温泉に途中下車した。数キロ戻ったあたりに「信生庵」という蕎麦屋と矢板温泉「まことの湯」がある。温泉は高温の湯が豊富に湧出していて、露天の中央に設えられた大きな陶器のトロフィーから掛け流されている。旅の仕上げの湯としては絶好である。

<< 戻る >>

*