国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
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第72回 信泉会 2012/spring 久米川温泉

      
           新緑の伊那路と新東名

早太郎温泉・こまくさの湯に集合

 信泉会はメンバーの多くが定年を過ぎ、住所が広く分散した。信州を旅するのに首都圏で集合することは難しくなった。従って昨今は信州の入り口近くの温泉で集合することにしている。集合場所を温泉にすることにより、渋滞などで遅れる車をおおらかな気持ちで待つことができる。今回伊那を旅することになって、大阪から参じるメンバーのことも考え、集合は駒ヶ根の早太郎温泉にした。中央道「駒ヶ根IC」からは5分で行けるので、車の旅には便利の良い位置にある。
早太郎温泉には南アルプスの展望を売りにした「こぶしの湯」もあるが、今回はリニューアルされたと聞いた「こまくさの湯」にした。この温泉は大田切川の岸にあり、見上げると中央アルプスの岩峰・宝剣岳(2931m)と、その下に広がるたっぷり残雪を貯めた千畳敷カール(圏谷)を望むことができる。辺りの新緑と共にアルペン的風景としては最高のポジションなのである。しかし以前来たとき(第42回信泉会1997/spring)には小さい露天風呂はあったが、アルプスが見える位置ではなかった。それがリニューアルで露天風呂エリアが拡げられ、中央アルプスの絶景を望む岩風呂が造られていた。すなわち露天風呂としては非常に価値の高い「望岳温泉」に変貌していた。早く着いた仲間も湯に浸かって気持ちよく待っていてくれた。
 
陣馬形山展望台

 信泉会ではランチは蕎麦と決まっている。幹事長が信州の観光案内で勧められたという駒ヶ根の蕎麦処「なごみ」に寄った。その店は盛りそばを「胡麻だれ」で食べるのを売りにしている。黒ゴマの濃いたれに浸けて食べる。蕎麦はそれなりに美味だったようだが、たれの味が勝ちすぎてぴんと来なかった。
 同じく幹事長が観光案内で勧められた「陣馬形山」へ行った。古いカーナビには道がないので、幹事長が貰ってきたドライブマップを頼りに山に入った。細くてタフな道を迷ったりしながら登った。久々にダートも走った。だが着いたところは素晴らしい展望ポイントだった。オートキャンプ場があり、そこからは天竜川が悠々と流れる伊那谷を隔てて残雪を戴いた中央アルプスの峰々が一望できた。またちょっと手前には盟峰北岳を始め南アルプスの3000m超級の連山を見渡せるポイントがあった。久々に信泉会の原点に返ったドライブを楽しんだ。
 
元湯・久米川温泉

 泊りは幹事長がネットで探していて見つけた温泉旅館である。伊那は故M会長の故郷で、思い入れの多い地域であった。既に37年も経つから大昔と言ってよいが、会が結成されて2回目の温泉は、会長の誘致によりいきなり秘湯・小渋温泉だった。当時中央道も未開通で伊那に目立った温泉はなかったのである。しかし昨今の温泉開発ブームで温泉はやたらと増えた。今回の久米川温泉も飯田市郊外の静かな山里に新しく開発された一軒宿の温泉である。開業してから10年ちょっとという。地元育ちの仲居さんによると「子供のころから田んぼに温かい泉があって、バケツを持って汲みに来ていた」とのことだ。
 98年春の信泉会(第44回)で南伊那の「不動温泉・花菱」に泊まったことがある。なかなか造りの良い露天があった。この「湯元・久米川温泉」はその花菱のオーナーが温泉の権利を買取り系列として温泉旅館を開業したのだという。あまり大きくはないが、花菱の露天と同じイメージの造りの良い岩風呂があった。加熱しているが、夜中も早朝も入浴可というサービスは評価してよい。
 宴会では新会長Nの発声で恒例の信州国歌「信濃の国」を皆で唄った。地元育ちの仲居さんは学校で国歌は習わなかったという。新会長は「伊那の教育はどうなっているんだ?」と嘆くことしきり。しかし仲居さんは「にっこり」だったからまあ良しとしよう。

南下して新東名へ

 4月に新東名(第2東名)の御殿場・三ヶ日間が開通した。走りやすいしSAやPAが充実しているとなかなか評判がよい。信泉会では信州から浜松や袋井に出て東名で帰ったことが何度かある。信州から南下して東名に出ようとすると、3本ある国道がいずれも南西に斜めに走っていて、首都圏に帰るには聊か不便である。加えて東名が海岸近くを走っているため、平地に降りてからICまでが街中のために距離に比して時間を要した。だから信泉会では東名を使うことをできるだけ敬遠していた。しかし近年国道が拡幅されたりして走りやすくなったこと、それに新東名は山の手を走っているのでICまでがやや近くなったこと、と理屈をつけて久々に信州からの帰路を南まわりにしたのである。
 国道153号で南下し、平谷村の道の駅で「ひまわりの湯」に立ち寄った。信泉会では初めての温泉である。着いたのはオープン10時の5分前だったが、大勢の人が開湯を待って並んでいた。平谷村は相当に過疎の様子だが、温泉には人気があるようだ。造りの良い広い露天が設えてあって、3本の打たせも落とされている。村興しの目玉にしようと気合を入れているようだ。
 国道をそのまま進むと信州最南端の村、根羽村である。「ネバーランド」などと駄洒落の看板もあった。会ではランチの蕎麦は信州で食することを原則にしている。根羽村で「ひよもの里」という意味不明の店で蕎麦にした。早く着いたからよかったものの店を出るころには大勢の客が席が空くのを外で待っていた。人気の店らしい。さすがに幹事長が調べてくれた店だけのことはある。何処から客が来るのか、駐車待ちの車まで居る。「こんな秘境に?」と驚くばかりである。
 国道153号は根羽村で直角に曲がって西に向かう。大阪から参加した車とはここで別れた。関東組は山道を斜めに走って新東名の浜北ICに出た。直線距離にすると50キロほどの距離なのだが、何しろうねくねした細い道でしかも登り下りを繰り返すハードな道だから時間はかかる。さらに期待した新東名は、確かに走りやすいがサービスエリアは超満車だし、御殿場で東名に合流してからは超渋滞で難儀をした。しかし新しい角度で富士山が見えたのでよかったか。
東名の渋滞を嫌って御殿場から中央道・圏央道に回った車も、小仏トンネルが渋滞で期待はずれだったようだ。毎回そうだが、日曜日の帰りはどうしても渋滞に遭う。午前中に帰りの高速に乗ればいいのだろうが、信州を楽しむ会だからそうもいかない。こうやって信泉会は続けられている。今回も2日とも好天に恵まれ、いつもと同様に楽しい会だった。
 

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