国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
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        第76回 信泉会 2014 spring  

                    新緑の乗鞍高原

<望岳の湯>に集合

 このところ集合場所は蓼科地区の温泉になることが多い。露天風呂があるところにこだわっていたが、ほぼ行き尽した感がある。今回は露天風呂こそないが「望岳」が気に入って茅野の「玉宮温泉・望岳の湯」に総勢15人が5台の車で集合した。畑の中にどんと構えた温泉館ですぐに分かったのだが、付近に大きな看板などは無いようで、アプローチのルートによっては迷ったそうだ。茅野市営7つの温泉館の一つで、10年ほど前にできたらしい。浴室は八ヶ岳に向かって大きな半透明のガラス張になっていて、望岳の名に恥じない造りになっている。なお男女入れ替え制になっていて、片方からは南アルプスが見えるらしい。アルカリ性が感じられる透明のお湯だった。

 信泉会の昼食は蕎麦と決まっている。今回の蕎麦処は幹事長が山形村・唐沢と決めた。5台の車が連なって久々に諏訪湖の南岸を通り、塩尻峠を越え、塩尻を経て唐沢へ行った。道路は拡げられていて、かなり走りやすくなっていた。唐沢地区で会の行きつけは「からさわ屋」である。特に手を入れてない農家の座敷で、いわゆる「もり」が普通の洋皿に盛られて出るのが素朴でよい。

乗鞍高原温泉 <金山ヒュッテ>

 
唐沢からは波田で国道158へ出て上高地・高山方面に向かう。奈川渡ダムサイトで車を駐め、山と水の緑を愛でた。奈川渡ダムの先で左折し、高原への登りは落葉松の新緑が鮮やかだった。高原は白樺の若葉が美しかった。一之瀬牧場の方へ行ってみた。白銀の乗鞍岳が青空に輝いていた。湿地帯には水芭蕉が咲いていた。時間があったので上に登って三本滝を観にいった。三つの沢の雪解け水がそれぞれ滝になって一カ所に集まっているという珍しい滝で、残雪があって足元の悪い山道を、駐車場から20分以上かけて辿り着くだけの価値ある奇観である。
 信泉会では15年ほど前の秋に一度乗鞍高原を訪ねたことがあった。その時には「やまよし」という温泉のある民宿に泊まった。温泉ブームが始まって、民宿を含め乗鞍高原の宿の多くが山奥の湯川の谷から温泉を引いている。今回泊まった「金山ヒュッテ」にもちゃんと温泉は引いてあった。木組みの浴槽のある内湯から外に出たところに、白い李の花が咲く庭に開けた露天があった。白濁した硫黄泉が掛け流されている。源泉は48℃あるらしいが、湯舟は39℃くらいに下がっており、のんびりと浸かることができる。湯の花が湯船の底に沈殿しており、これが濃い温泉を感じられて良い。

雪の回廊

 翌朝は登山バスで乗鞍に向かった。やがてバスは頂上の近くまで登れるようになるらしいが、今は除雪が間に合わず乗鞍の南面に広がる大雪原の入り口に当たる「位ヶ原山荘」迄である。道路の除雪作業は進められているので、そこから上は雪の回廊になっている。回廊と言っても立山や八甲田といった豪雪地帯と違って規模は小さいのだが、初めての人には感動ものである。スキーを担いで位ヶ原の雪原を登って行く人たちもいるが、多くの観光客は雪の回廊を少し散歩してから山を下る。われわれもそうした人達に倣って30分ほどの散歩で登ってきたバスに再び乗って引き返した。
 昼になったので高原の下端に当たる番所に下り、水車挽きの蕎麦屋「中之屋」で昼食を摂った。ここでも前日の唐沢と同じく、もりの一人前は二枚だった。
 日曜日の午後は道路が混む。早めに帰ろうと松本ICで解散した。5台のうち1台は関越道で帰ると言って北へ向かった。それは正解だったようだ。後の4台は南に向かったのだが、そのうち1台は岡谷で別れて大阪へ向かった。残りの3台はそのまま中央道で帰ったのだが、早めに出たにもかかわらず大渋滞に巻き込まれた。毎回のことで覚悟はしているが、渋滞はせっかくの楽しい旅に水を注す。それはともかく今回もいい信泉会だった。

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