国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
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第77回 信泉会 2014/fall
 
          野沢温泉を廻る秋色を訪ねる



  1975年から数えて今回で77回になる信州の温泉に拘った旅のグループ「信泉会」2014年秋の大会の記録。好天に恵まれ秋色を存分に愛でようと蓼科を越えて集合温泉「こもろ」に行った。入浴・新そばでランチの後、野沢温泉に行き、先ず「おぼろ月夜の館」を訪ねてから宿へ。翌日は林道から志賀高原をドライブして万座温泉で立ち寄り湯をし、途中で蕎麦ランチをしてから長野原に下りて解散した。
布引温泉<こもろ>に集合

 秋の例大会。泊まりは当初、幹事長は木曽方面を計画していたらしいが、御嶽山の噴火という思わぬ事態に急遽野沢温泉へ変更になった。秋の行楽シーズン真っ盛りの週末とあって、会の趣旨に見合う宿を探すのに幹事長は苦労したそうだ。参加するメンバーの居住地から考えて今回の集合場所は「布引温泉・こもろ」と決まった。
 幸い快晴で、初狩PAから見る富士山も美しい。諏訪南ICで高速を降り、国道299を少し登り、蓼科中央高原の別荘地帯を抜けてビーナスラインに出た。このルート、秋色がなかなか素晴らしいのだ。ビーナスラインを「すずらん峠」へ登って行く途中、蓼科山を正面に望む辺りに素晴らしい紅葉観賞ポイントがある。更に峠から女神湖へ抜ける林道にも高角度に西を望む絶景ポイントがある。黄金色の絨毯を敷き詰めたような落葉松林の彼方に噴煙を上げる御嶽山も見えた。目を右に転じると穂高岳・槍ヶ岳、更には白馬岳と、北アルプスが南の端から北の端まで見渡せる。更に北方には頸城アルプス・妙高山までが一望できた。
 「布引温泉・こもろ」は千曲川右岸の高台にあって、浅間山の展望が素晴らしい露天風呂があるため、信泉会では今回が5度目の立ち寄りである。近くにやはり浅間山の展望を売りにする「あぐりの湯」という温泉館もあるのだが、露天風呂の造りに雲泥の差があり、信泉会のご用達は「こもろ」なのである。今回も浅間山に噴煙こそ見えなかったが全山が紅葉で褐色に染まっており、眺望は期待に背かなかった。
 この日は丁度「新そば祭り」をやっていて、ロビーで蕎麦打ちの実演を見ることができた。信泉会のランチは蕎麦に決まっている。丁度良いのでその新そばでランチをすることになった。浅間山の中腹、標高1000mの天池地区で栽培されている地そばだという。昨日製粉したばかりという「引きたて」「打ちたて」「ゆでたて」のいわゆる「三たて」の蕎麦で、間違いなく美味であった。

野沢温泉

 小諸ICから高速に乗り、豊田飯山ICで降りて国道117を野沢温泉に直行した。信泉会で野沢温泉に泊まるのは今回で3度目だが、前回は24年も前のことだから雰囲気は大分変っていた。宿に行く前に街の真ん中にある「おぼろ月夜の館」という高野辰之記念館に寄った。近代的な立派な建物で驚いた。村の思い入れが良く分かる。中で高野辰之博士の偉業を称えるビデオを観せられた後、喫茶室で珈琲を喫しながら、受付の小母さんのピアノ伴奏に合わせて皆で名曲「故郷」を唄わされる仕組みになっていた。中庭では野外結婚式が行われていた。新郎はイタリア人とかでタキシードにシルクハットを被っていた。高野辰之記念館は博士の生家がある中野市にもあるが、野沢温泉のは大分趣が異なっていて、それはそれで面白かった。
 「おぼろ月夜の館」からほど近いところに宿「ハウス・サンアントン」はあった。幹事長は方々を当たり、直前になったやっと部屋が確保できたのだそうだ。「サンアントン」とはオーストリアの有名なスキー場「ザンクト・アントン」の英語読みで、ヨーロッパの田舎ホテルの雰囲気がある宿だった。先代はオールドスキーファンにはその名を知られたスキーの名手。現オーナーはこれまたザンクト・アントンで修業をしたスキーの名選手で今は野沢温泉スキー場の社長さんでもある。
 ともかくスキーに特化したような宿だから温泉は貧弱である。源泉掛け流しではあるが、3〜4人がやっとという小さな浴槽である。しかし野沢温泉は外湯巡りが売りの温泉地だし、宿の近傍に何ヵ所かの外湯があるので信泉会の趣旨からいっても問題はない。浴衣姿でてんでに出かけ、みなさん7カ所ほどの外湯を巡ったそうだ。
 夕食の締めは、会長の音頭で信泉会恒例の信州国歌「信濃の国」を斉唱した。この歌を最後まできちっと唄ったのは宿はじまって以来の快挙だということで、女将からいと高く評価された。女将はお返しにと「野沢温泉小唄」を唄ってくれた。これがまた良かった。

志賀高原から万座温泉へ

 朝から良く晴れていた。信泉会で二日とも晴天になるのは近年にないことで嬉しい。スキー場の中を登ってうねくねした林道を奥志賀へ出た。始めのうちは素晴らしい秋色だったが、高いところに出ると紅葉は終わり葉を落としたダケカンバの林になる。34年前、最初の野沢温泉の時にもこの林道を通ったがその時は砂利道だった。今は舗装されてはいるが屈曲の多い道なので早くは走れない。おまけにこの日は高原を走るサイクリング大会があり、ゼッケンを付けたサイクリストが坂道を喘いでいて危ない。奥志賀を通り蓮池のところで志賀草津道路(国道292)に出て渋峠を越え万座へ下りた。
 万座温泉ではプリンスホテルの露天風呂に浸かった。信泉会では過去76回のうち5回、万座温泉で立ち寄り湯をしている。そのうち4回は高原ホテルの露天であったが、今回は展望優先という幹事長の意向でプリンスホテルになった。この露天は前回(1989年)のときは結構おおらかな混浴だったが、その後マナーの悪い輩が増えたと見えて今では混浴のハードルは高い。
 三原に下りてランチにしようとホテルを後にしたが、万座ハイウエーは通行止めになっていた。想定外のことでうろたえたのだが、志賀草津道路に登り返して草津に下りた。草津から長野原に下る途中の蕎麦処で遅いランチを摂った。後は解散して渋川方面と軽井沢・佐久方面に分かれて帰った。行楽シーズンの日曜日とあって何処を通っても道路の渋滞は激しい。それでも好天に恵まれ秋色も良く楽しい旅だったので良しとしよう。

 

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