国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
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温泉に泊まりながらスイス・フランス・イタリアの古城を巡る (2012) 
 その3  スイスからフランスへ <エクスレバン温泉>

古城を訪ねながらジュネーブ経由でフランスへ

 シグリスヴィルの温泉に3連泊した後、この日は長躯フランスのエクスレバン温泉に行く。朝目覚めたら快晴で、部屋の窓からモルゲンロートのユンクフラウが見える。出がけにトゥーン湖畔のオーベルホーフェン城に寄った。中へは入れなかったが、様になる形の城で、湖に面し山を望むという絶景の立地である。(写真はパンフレットから)
 トゥーン湖の水はアーレ川になって蛇行しながらも概ね北に流れ、ライン川に合流して揚句は北海に至る。一方この日往こうとするジュネーブからフランスのエクスレバンは地中海に注ぐローヌ川の流域である。アーレ川とローヌ川は、元はスイス中央部にある同じ分水嶺を挟んで北と南に分かれているのである。従ってトゥーン湖からローヌ川側に出ようとすると、どうしても峠を越えなければならない。今回は仲間に鉄道ファンがいるから、日本人には珍しいカートレインでトンネルを抜けるルートを選んだ。
 トゥーン湖の南岸に回って、カンデルステークから車ごとカートレインに乗り、レッチュベルクトンネルを抜けてローヌ川が流れるワリスの谷に出た。レマン湖に近づいた処で先ずエイグル城を観に行った。ブドウ畑に囲まれた立派な構えの城だったが、たまたま休館日で中庭までしか入ることはできなかった。
 レマン湖畔に出てシヨン城へ行った。スイスでお城を売りにした国際的観光地はおそらくシヨン城だけだろう。バイロンの詩で有名なのだそうだ。新聞広告などを見ていると、シヨン城のは観光は大概のスイスツアーに組み込まれている。城の石窓から眺める湖の彼方に聳えるダンデュミディ峰の雄姿がすばらしい。多くの観光客が来ていたし、当然日本語のパンフレットも用意されていた。順路に従うと46の部屋を回らなければならない。古城評論家先生が一緒なので結構時間がかかる。実は20年前にも来たことがあるのだが、憶えていたのは牢獄の囚人を拘束する首輪の付いた柱だけだった。
 シヨン城を後にしてモントルーで車に給油して、アウトバーンに乗りジュネーブに向かった。ジュネーブに着いたとき丁度レマン湖の大噴水(ジェッドー)が吹き上がったところだった。ジュネーブの噴水は140mもの高さに上がるそうで、今ではジュネーブの象徴にもなっているが、もともと高い水圧に耐えるバルブ製造の技術力を誇示するためのデモンストレーションだということである。連れがジュネーブの噴水を見たがっていたので丁度よかった。湖尻の橋を渡って噴水に近い東岸に駐車スペースを見つけた。噴水に近づいて記念写真を撮った。
 5時になって噴水は止まった。街には一方通行などあって苦労しながら高速に乗り、南に向かって国境を越え、今宵の温泉エクスレバンに向かった。フランスに入ると高速道路の標識の色が緑から青に変わり、道路のジャンクション毎に料金所が現れる。スイスの高速道路は定額の年間利用料が決まっていて、支払い済みのステッカーが張ってあると一々料金を払う必要はなく、もともと料金所などはない。そのことに慣れた頃に、急に料金所が現れると面倒で腹立たしく思えてくる。

エクスレバン温泉

 エクスレバンはローヌ川に盲腸のように繋がっているフランス最大の湖、ブルジェ湖の傍にある有名な温泉地である。ジュネーブからは南へ50キロ程のところで遠くはない。予約していたホテル(メㇽキューㇽ・アリアナ)は大きな公園の中の静かな環境にあった。入り口近くに温泉館があったが、その奥にあるホテルにも付属の温泉(スパ)がある。
 一日6ユーロのバスローブを借りて、部屋で着換えた水着の上に羽織って温泉に行く。
冷たい大きな温泉プールと、噴流のでる温かいホイールプールがあった。あまり熱くないサウナが一つだけあった。フランスだからサウナも水着のまま入る。

フランスの砦巡り

 グルノーブルと言えば冬季五輪の開催地として有名であるが、そこに壮大な砦があるという。日本の観光案内本にも出ている。フランスで城(シャトー)と言えばロワール川沿いに点在するような宮殿が有名だが、古城評論家先生は石垣などが築かれていて戦いの痕跡が残っている城を好む。
 エクスレバンから南へ高速道路で70キロほどの所にグルノーブルはあるが、地図で見るとその途中のトゥヴェという町に城があるらしいので寄ってみた。高速を降りるとすぐにお城は目についた。しかし城だからかすんなりとは近づけなかった。回り込んで門までたどり着いたが、そこからお城にまっすぐ伸びた立派な並木道が続いていた。城はプライベートなものらしく、並木道の奥に広場ともう一つフェンスがあり城の中までは入れなかった。館の窓に人影が見えたが、全く動かないので人形かもしれない。
 グルノーブルは大きな街である。街の北側をローヌ川の支流であるイゼール川が流れており、川向うの岩山が「バスティーユ砦」である。目指す砦に近づきながら街中の駐車場に車を駐めた。運よく地上の駐車場だったから、砦に向かって歩き出す方向を見失はないで済んだ。砦へは川の手前の街側の岸からロープウエーが架かっている。丸いゴンドラが4連になった珍しいロープウエーである。昇った所は展望台になっていて、グルノーブルの街と周りの雪を戴いた山々が一望できる。遠くにモンブランも見えるらしいが、この日はその方向に雲があった。
 ゴンドラで昇る途中で城壁と思しき石垣が山の中腹を取り巻いているのが見えた。砦の建物の址は展望台の更に上部にもあるらしいが、上には行けないようになっていてお城先生は残念がっていた。街に降りてとあるピザやでランチにした。よせばいいのに片言のフランス語で注文したため、アン・ドゥ・トゥロワの発音がうまく理解されなかったとみえ、注文したつもりよりピザが一枚多く出来てきた。
  次にまた高速に乗り約100キロ西に走ってリヨンへいった。郊外に「ブロン砦」があるからである。この砦は第2次世界大戦でも使かったのではないかと思わせる近代的構えで、周りに銃眼を備えたきちっとした空堀が廻らされていたりしたが、厳重な柵があって中には一歩も入れなかった。
 仕方ないのでリヨンの旧市街の丘(フルヴィエールの丘)に聳え建つノートルダム大聖堂を観にいった。リヨンはフランス第二の都市だということで市街地は混んでいる。丘の麓に辿り着くのに時間がかかった。更に丘を登る細い道は、先行する観光バスが角をうまく曲がれなかったり、駐車スペースを探す車が右往左往しているなど混雑を究めている。どうやらリヨン一番の観光スポットらしい。われら一行は宗教への関心は低い連中だから、大聖堂の中を拝むことより外のテラスでリヨンの街の展望を楽しんだ。
 帰りは街中の渋滞を切り抜けて高速に乗ればエクスレバンまでは100キロ程だから一時間で帰れる。この日も300キロ以上走った。さあ帰って温泉だ。

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