国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
TOP > サイトマップ > _ > _


温泉に泊まりながらスイス・フランス・イタリアの古城を巡る(2012)
 
       その4 モンブラントンネルを抜けてイタリアへ


アヌシー

 アヌシーはアヌシー湖畔の古い町で、フランス・アルプス地方の風光明媚な観光地として知られている。観光案内に掲載されている写真で必ず写っているのがアヌシー城だ。高台に格好よく聳え建っている。城好きと一緒に旅をしているので、その城を観に行った。前泊したエクスレバンからは北へ30分ほどの距離だ。しかし高速道路から下りて街に入ると迷ってしまった。湖岸まで出ると城が見えると思っても、結構大きな街でしかも街には一方通行が多く、なかなか思うようにはいかない。右往左往してやっと城の姿を見つけて傍の駐車場に車を駐めることができた。
 アヌシーはかってはサヴォア公国の首都として賑わったというから、12世紀に建てられたという石造りお城も立派なものだ。中は民族歴史博物館になっているのだが自由に入ることができる。お城好きは展示物には目もくれず部屋の構造や窓の造りを見て回っている。城には塔がつきものだが上まで昇ると息が切れる。二つ目の塔はギブアップして中庭で皆が出てくるのを待った。
 お城のある高台から湖に向かって降りた処の運河の中州に、お城の付属館だったという尖がり屋根をした石造りの古い建物がある。裁判所や牢獄としても使われたといって、アヌシーの観光ポイントになっている。城から歩いて下りて写真を撮った。

シャモニー・モンブラン


 モンブランはヨーロッパの最高峰なのだがイタリアとの国境にあり、イタリアではモンテ・ビアンコと呼ばれている。モンテ・ビアンコが見える地域、すなわちアオスタ(イタリアの北西部)には古城が沢山ある。それを観に行くためにアヌシーからシャモニー・モンブランに向かった。アヌシーは晴れていたが、山深くなるにつれ曇ってきて、シャモニーに着く頃にはこともあろうに小雪がちらつきだした。
 シャモニーでは鉄道好きの機嫌を取るために、フランス唯一というアプト式の登山電車に乗った。いきなり急角度で登り出し、シャモニーから終点モンタンヴェールまでの標高差約900米を20分で登る。モンタンヴェールの駅はU字渓谷の側面のテラス状になった所で、大氷河メールドグラスを見下ろすことができる。氷河の奥にはアルプス三大北壁の一つであるグランジョラスの北壁が立ちはだかっているはずなのだが、この日は雲に隠れて見えない。氷河にトンネルが穿たれていて、いわば氷河の胎内潜りができるようになっている。モンタンヴェールから谷底に向かってテレキャビンが架かっている。氷河までは更に歩いて相当下らなければならない。皆は元気に下って行ったが急坂を見て恐れをなし、「氷河の中はスイスで何度も観た」と自分に言い聞かせてリタイアした。テレキャビンで引き返し売店で珈琲を喫しながら皆を待った。昔は氷河がずっと厚くて駅のレベルまであり、降りて行かなくても氷を踏むことができたらしいのだが、温暖化は観光にも大きな影響が出ている。

モンブラン・トンネル

 イタリアへはトンネルで抜けることができる。トンネルの入り口はシャモニーからヘヤピンカーブを2キロ程登ったところにある。トンネルは有料で入り口にゲートがある。しかもゲートで通行量の制限をしているらしく、手前が大渋滞でゲート通過まで1時間かかってしまった。トンネル内は車両間隔を150米以上空けなければならないと規制され、みんなそれを守っている。片側一車線の対面通行ではあるが、トンネルに入ってしまうとスムーズに走れてイタリアに入ることができた。
 トンネルを出たところはイタリア・バッレダオスタ州のクールマイヨールで、トリノ・オリンピック金メダルの荒川静香が直前合宿をした町である。クールマイヨールの一つ下手の村プレサンディディエの宿に予約を入れていた。実は二年前に来たことがあり、宿の傍に好い温泉があることを知っていたからである。しかしその知っていたことが仇になり、よく調べることを怠ったためかメンテナンスの休館週間に当たってしまったのである。国際温泉評論家を自認する者として恥ずかしい限りである。
 この時期はスキー客が去った後の閑散期で、クールマイヨールやプレサンディディエではほとんどのホテルは休業している。泊まったホテルもレストランは休業しており、傍の別のホテルで夕食を摂った。プレサンディディエで営業している唯一のレストランだという。食事を終えて外に出ると、夕映えの雪煙をあげるモンテ・ビアンコが見えた。

参照 : トリノ観光と <プレ・サン・ディディエ温泉> ********************************************
旅も半ば、北イタリアの中世めぐりもトリノで最後になった。アルプスに向かうためアオスタの谷に入っていった。その奥にモンブラン山群の展望が出来るプレ・サン・ディディエ温泉がある。

モンブラン(4807m

 翌朝、部屋の窓からはモルゲンロートのモンテ・ビアンコが見えた。感激である。モンブラン観光と言えばシャモニーからロープウエーでエギーユ・ドュ・ミディへ昇るのが一般的で、既に二度行ったことがある。だから今度はモンブランでなく、イタリア側からモンテ・ビアンコを観たかった。一昨年もそのつもりで同じホテルに泊まったのだが、雨天が続き果たせなかった。だから感激は一入である。
先ず宿の裏手をプチ・サンベルナール峠に向けて少し登り、グランジョラス峰(4208m)をカメラに収めた。グランジョラスはフランス側の北壁がアルプス三大北壁の一つとして有名なのだが、イタリア側から見る南壁も朝日に輝いて素晴らしい。
 モンテ・ビアンコを観るのはクールマイヨールからロープウエーを乗り継いでシャモニー側から昇るのと同じエギーユ・ドュ・ミディへまで行く。快晴なのにロープウエー乗り場の駐車場ががら空きだったので訝しく思ったが、それもそのはずロープウエーは休業中だった。ネットで運行時間などはちゃんと調べたはずなのになんたることだ。せっかくの快晴を無駄には出来ない。仕方なく昨日通ったモンブラントンネルを引き返し、シャモニーからエギーユ・ドュ・ミディへ昇った。
 エギーユ・ドュ・ミディ(3842m)は富士山より高い展望台ということで日本人には感慨深い。10年前に比べると展望台は整備されていたが、展望するアルプスの景観は変わっていなかった。遠くにマッターホルンもはっきり見えた。「富士山もみえるよ」とシャモニー観光センターの日本語が堪能な美人職員が我々をからかう。シャモニーから標高差1800mを一気に昇ると軽い高山病にかかり、展望台の階段の上り下りも足がふらつく。一渡りアルプスを見渡したあとはそさくさとシャモニーに降りた。
 ロープウエーの駅前に中華レストランがあった。誰かが「ラーメン食べたい」といったので店に入った。日本字で「特製ラーメン」と書いたビラが貼ってあったので注文したが、口には合わずがっかりだ。またトンネルでイタリアへ帰ったが、どういう訳かイタリアへ向けてはトンネルの入り口が渋滞する。今日も昨日と同様入り口のゲートまで1時間かかった。イタリア側からはすっと来れたのに。

<< 戻る >>

*