国際温泉評論家 山本正隆のココシカ温泉談義
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春の花見プチ旅 <会津・越後・信州>

 春は花見である。四月に入って先ずは甲府盆地の桃の花を観にいった。花見と言っても温泉好きは目的の一つに必ず温泉を入れる。定番の「ももの里温泉」に浸かってきた。四月も下旬になると北の方も桜が咲きだす。恒例のプチ旅行は昨年に続き会津から越後・信州と反時計回りに廻ってきた。
 
りんどうの湯
 会津へは美姫に会うために良く出かける。その場合、塩原温泉郷で入浴して潔斎をすることを慣わしとしている。今回はいつも前を通っているのに未入湯だった「りんどうの湯」に立ち寄った。西那須野塩原ICを下りて湯の香ライン(国道400号)を北へ向かうと、千本松牧場の先の右側に飛行機が飾ってある大きな駐車場がある。意外性のある飛行機の展示は通る度に気にはなっていたが、いつもはつい通りすぎていた。その飛行機の前に駐車すると、奥に「塩原ファミリー牧場 大浴場・露天風呂入り口」があった。
 なんとなく事務的な入り口からは想像できない、なかなか雰囲気のよい露天があった。丸みのある岩風呂で、近くの泉源から60℃でpH8.8のアルカリ性の湯がたっぷりと掛け流されている。やや淡黄色のところが温泉らしくて良い。とっぷりと浸かりながら見上げるとこぶしが咲きかけていた。

宮下温泉 <栄光館>

 温泉からあがって、穂の香ラインを那須方面へ少し外れた処の「高林坊」という蕎麦屋でランチをした。連れの一人がお気に入りの店だというので寄ったのだが、確かに美味しい蕎麦だった。後は国道・穂の香ラインに戻って尾頭トンネルを抜け、会津西街道(R121)を北上した。会津本郷焼は陶芸愛好家には良く知られた焼物の郷だが、今は町村合併で地籍は美里町になっている。そこに工房を構える美人陶芸家を訪ねた。先ごろの日本橋・三越での個展が大好評だったことへの祝意を伝えるためである。
 奥会津の只見川脇にある宮下温泉は、美人陶芸家の仲良しが女将をやっている。「美人の友達はまた美人」というのはどうやら法則のようで、そこの女将も美人なのだ。とりあえず一風呂浴びたのち、陶芸家にも来てもらって会食をした。美人陶芸家、美人女将、それに連れの美人に囲まれての乾杯は、特にこの日は雨模様で道中の花見ができなかっただけに、感激も一入だった。もちろん何度も来て知っているのだが、ここの源泉掛け流しの温泉は文句なしの名湯である。


さくらの湯
 
只見川沿いに走るJR只見線は鉄道ファン、特に「撮り鉄」と呼ばれるカメラマンの聖地だった。しかし只見川の大洪水で鉄橋が流されて不通区間ができて以来、人気だったSLも走らなくなった。宮下温泉にも「撮り鉄」客が来なくなった。そのためこの時季、カタクリの群生地に力を入れている。山間の地に桜の花が咲くころ、カタクリも紫色の可憐な花をつける。女将の強いお勧めがあったので行ってみた。只見川左岸の高い位置、標高500米近いところの林の中が一面紫色になっている。確かに見ごたえのある群生地だった。
国道400号(西方街道)で北上して西会津ICから磐越道に乗り、新潟で北陸道に乗り換えて巻潟東ICで降りて、越後の国一の宮・弥彦神社に詣でた。越後にやってきた仁義である。仁義さえ切っておけば、なにもためらうことなく温泉に入れる。
神社から3キロ程南へ行ったところに、「弥彦桜井郷温泉・さくらの湯」という日帰り温泉館がある。2006年にオープンした新興温泉館で、当時訪ねたことがあったが、近年リニューアルしたと聞いて今回立ち寄ることにしたのである。千円の入館料はちょっと高いようだが、タオル、館内着(浴衣)付きだからそんなものなんだろう。広い庭の露天は確かに浴槽のバライエティーが増えていた。43℃の源泉を800米離れた裏山から引いてきていて掛け流しているという。淡黄色ぎみのpH8.6のアルカリ性透明な湯である。
せっかく浴衣が用意されているのだから、それを着て館内食堂で昼食を摂った。寺泊の近くなので魚は新鮮だろうと思って海鮮丼にした。間違いはなかった。さくらの湯から少し南へ行くと信濃川の放水路がある町・分水に出る。そこの土手に3キロに及ぶ見事な桜並木がある。この日は散り始めだったが、十分に見ごたえはあった。
分水からは国道116号で南下し、西山ICで北陸道に乗った。上越で上信越道に乗り換え、中郷ICで降りて行きつけの燕温泉へ行った。

燕温泉

 
燕温泉・岩戸屋は40年来の行きつけ旅館である。最初はスキーで行ったのだが、温泉が気に入ったうえ女将が美人だったのでリピータになってしまった。最初に行った頃は高校生だった若女将が、また美人である。これがいまだに年に数回のリピートを続けている理由でもある。温泉も変わっていないが、今年から露天にちょっとした目隠しが付けられた。秘湯としての燕温泉が海外にまで知られるようになり、裸で外をうろうろするマナーの悪い外人がいたからだという。
 翌朝は良く晴れていた。今の時季、妙高山塊の山腹に現れる「妙高の跳ね馬」という雪形が見えるというので、帰りがけに松が峰の池傍に寄ってみた。燕温泉は標高1100米の高地で周りはまだ雪に覆われているが、国道や高速道路が通っているところの標高は350米程度である。高速の中郷ICの近くにある松が峰という地区には桜並木があって、丁度満開の見頃であった。池の周りも満開の桜が咲いており、雪形を現した白銀の山をバックに絶景ポイントになっていた。
 信州へ入って須坂の臥龍公園の桜を観にいった。ここも満開で、平日にも拘らず大勢の観光客で賑わっていた。旅の締めに近くの蕎麦屋で信州蕎麦を賞味してから帰路についた。
 

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